診療科目

下肢静脈瘤の治療方法

 

圧迫療法

下肢静脈瘤が軽症の方は、弾性ストッキングという圧迫用ストッキングを着用することで静脈瘤の症状を軽減させます。下肢静脈瘤手術後も、弾性ストッキングをしばらくの間着用していただきます。(当クリニックでご購入いただけます。)

弾性ストッキングについてさらに詳しく

弾性ストッキングは症状改善には有効ですが、静脈瘤自体を治すものではありません。効果があるのは着用をしている間だけとなります。

硬化療法

静脈の中に薬を注入して静脈を固めてしまう治療です。硬化療法は外来で簡単にできますが、逆流の強い静脈では薬が薄まってしまい、あまり効果が期待できません。下肢静脈瘤が軽症の方や、下肢静脈瘤の手術と併用して小さな静脈に対して行います。

治療費用(保険適用3割負担) 約5,600円

※ 内服薬や包帯、手術後に自宅で着用していただく弾性ストッキングの費用が別途必要です。

手術

当クリニックでは、循環器内科・血管外科の専門医として培った技術と経験から、下肢静脈瘤の「日帰り手術」を実施しております。特にこれまで自費診療だった下肢静脈瘤のレーザー手術も一部保険適用となり、治療される方が増えています。

エンドレーザ治療

当クリニックでは保険適用に対応したレーザー機器[ELVeS(エルべス)レーザー]を導入しております。保険によるレーザー手術を受けていただくことが可能です。

エンドレーザー治療についてさらに詳しく

高位結紮術(こういけっさつじゅつ)

局所麻酔で2~4cmの皮膚切開を数箇所加えて、静脈瘤の原因である静脈を縛る手術です。日帰り手術は可能ですが、多数の切開が必要な場合など傷口も増えてしまうため美容的には適さず、切開部の感染症などの可能性も高くなります。静脈瘤の再発率が高いことが問題となっています。

手術費用※(保険適用3割負担) 片足:約20,000円  両足:約30,000円

ストリッピング手術

昔からある手術方法で、逆流している表在静脈(大伏在静脈、小伏在静脈)や瘤となった静脈を引く抜く手術です。引き抜く血管の上部と下部に2~4cmの皮膚切開を加えて血管の両端を縛った後、特殊な金属製のワイヤーを血管内に入れて引き抜きます。

治療効果は高いのですが、皮膚切開が2箇所以上必要となり美容的には適さず、皮膚切開を行うため感染症の可能性があります。

手術費用※(保険適用3割負担) 片足:約41,000円  両足:約72,000円

※ 内服薬や包帯、手術後に自宅で着用していただく弾性ストッキングの費用が別途必要です。

合併症について

手術方法の違いによらず、以下の合併症の可能性があります。

アレルギー反応

麻酔薬や硬化剤に対するアレルギー反応は起こることがありますので、今までに薬で何らかの異常があった方は診察時に必ずお申し出ください。

感染、創離開

皮膚切開部は手術直前に十分に消毒をし、清潔機材を用いて行いますが、菌の混入による感染の可能性があります。傷口が小さいほどまた、操作時間が短いほど感染の可能性は減少します。

疼痛

傷口の痛みは手術直後よりありますが、日に日に軽減をいたします。また手術により固まった静脈瘤は腫瘤として触れ、歩く時に“引き連れ痛”を認めることがありますが、痛みは1週間前後で軽減し、固まった静脈瘤は3〜4ヶ月で自然吸収します。

皮下出血

傷口周囲、又は静脈を抜去したりレーザーで焼いた部分に発生しますが、1〜2週間で自然と消失します。細かい血管は、硬化剤の注入によって固まらずに散ってしまうことで皮下出血になりますが、これも同様に1〜2週間で消失します。

血栓性静脈炎

静脈瘤内に多く血液を残して固まった時に認められます。血管が炎症を起こして赤く腫れて痛むことがあります。血管内に残った血液量によりますが、多くは1週間ほどで次第に改善します。痛みが強い時にはお申し出ください。

水疱

手術後のテープによる圧迫により生じることがあります。心配はありませんが、むやみに潰すと化膿することもありますので、大きい水疱のときはそのまま診察にお越しください。

色素沈着

静脈瘤の上の皮膚は薄くなっているので、硬化剤を注入した後や血栓性静脈炎を合併した後に皮膚の色素沈着がみられる事があります。ほとんどの色素沈着は6〜12ヶ月でほぼ消失しますが、中には薄く残ったり多毛を生じることがあります。

神経損傷

長期間残存する可能性のある合併症で、下腿(ふくらはぎ)内側のシビレ感、知覚鈍麻などです。知覚神経の損傷によるもので、脚の運動機能が障害されることはありません。時間は掛かりますが、徐々に知覚異常の範囲は狭くなります。当院の手術方法では1%以下の発生率と考えております。

再発

再発率は、治療方法により違ってまいります。遺伝性のものや、組織学的に正常に近い静脈瘤、若年性の静脈瘤には再発も多くみられます。万一再発が見られても、静脈瘤の治療方法を変え繰り返して行うことができるので心配はいりません。

深部静脈血栓症

術後に深部静脈の中に血栓を生じてしまうことがあります。術後に長時間の安静状態でいますと発生してしまう可能性が高いと考えられます。当院の日帰り手術のように術後の早期歩行、弾性ストッキングの着用により発生はなくなります。

肺動脈塞栓症

深部静脈内の血栓が飛び、心臓を介して肺の血管を詰めてしまう病気です。上記のように弾性ストッキングの着用と術後早期に歩行することにより深部静脈内血栓を生じませんので、発生はきわめて少ないと考えます。