足の静脈のしくみ、静脈弁の役割、そして静脈瘤が発生するわけ等をご説明いたします。
血管には「動脈」と「静脈」があります。心臓からでた血液は動脈を通って体の隅々にいきわたり、その後は静脈を経由して心臓に戻ります。静脈は、からだの細胞・組織から出された二酸化炭素、老廃物を運んでいる血管です。
脚の深いところを走る「深部動脈」と皮膚表面を走る「表在静脈」を経由して血液流れます。表在静脈の代表が「大伏在動脈静脈」と「小伏在静脈」です。
また、深部静脈と表在静脈は「交通枝」という短い血管でつながれています。
脚の血液は、下腿(かたい:ふくらはぎ)の筋肉を動かすことで、静脈を押しつぶして血液を押し上げる「筋ポンプ作用」と重力による血液の逆流を防ぐ弁の作用によって、心臓に戻っていきます。血液が心臓へ戻ることを「静脈環流」といいます。
「静脈還流」には、静脈の内側にある「弁」が大きな役割を果たしています。2本足で立って生活している人間の血液にも重力がかかり、その重みで下の方へ戻ろうとします。この下への逆流を食い止めているのが「静脈弁」です。断面でみると「静脈弁」は八の字型をしているため、上向きには血液が流れても、下へは流れない一方通行の流れを作っているのです。
多くの静脈瘤は、表在静脈(とくに代伏在静脈や小伏在静脈)のこの静脈弁が壊れるために発生します。静脈弁が正常に動かないと、血液は逆流することになり、足の下の方に血管が溜まります。その結果、脚の静脈が膨らんで表面に浮き出してボコボコとコブ(瘤)になった状態となり、静脈瘤となってくるのです。
いずれのタイプも治療が可能です。
静脈瘤ができるには複数の因子が考えられています。静脈瘤ができやすい条件、つまり危険因子としては下記の表にあげたものがあります。まとめてみると、お母さんや姉妹に静脈瘤がある女性にできやすく、妊娠をきっかけに静脈瘤ができ、立ち仕事に従事したり、年齢がすすむにつれて病状が進行するといえます。
15歳以上の男女632人に行った静脈瘤検査の結果、632人中274人、つまり43%という多数の人が静脈瘤をもっていることになります。この頻度は女性に多く、また年齢が高くなるにつれて上昇しており、30歳以上の人では62%とさらに増えています。