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弾性ストッキングと日常のケア

こちらのページでは、下肢静脈瘤の治療に使われる弾性ストッキングについてと、日常生活で気をつけていただきたいケアのポイントをご紹介いたします。

弾性ストッキングについて

軽症の方や手術後の治療に用いられる、弾性ストッキングの着用をおすすめします。

弾性ストッキングは、むくみやだるさなどの症状を軽減させ、静脈瘤の悪化を防ぐために使用されます。この弾性ストッキングは、静脈血栓症やリンパ浮腫の患者さんにもすすめられており、弾性ストッキングを上手に使用することにより、より快適な生活を送ることができるとされています。但し、弾性ストッキングは静脈瘤を治すためのものではなく、静脈瘤を根本的に治療するためにはやはり手術や硬化療法が必要です。

弾性ストッキングのしくみ

医療に用いられる弾性ストッキングは、普通のストッキングとは違う特別な編み方で、足を強く圧迫するように作られています。足を外側から強く圧迫するように作られています。つまり、外側から強く圧迫することにより、静脈還流を改善するものです。

また弾性ストッキングは、足首から太ももへと段階的に圧迫圧が弱くなるように作られており血液が心臓へ戻りやすくする機能があります。

足を強く圧迫するわけですから、簡単にはくことはできません。簡単にはけるストッキングでは治療効果が期待できないと理解してください。

弾性ストッキングの種類

弾性ストッキングにはいろいろな圧迫圧のものがあります。静脈瘤の種類や程度に応じて選択します。

タイプにも、パンティーストッキングタイプ、ストッキングタイプ(ふとももまでの長さ)、ハイソックスタイプ(膝下までの長さ)などがあります。

足の太さに合わせて、S・M・Lなどのサイズも用意されています。適したサイズを決める場合は、腓腹部(ふくらはぎのもっとも太いところ)と足関節部の太さをメジャーで計測してサイズを決めます。メーカによっても多少の違いはありますので腓腹部と足関節部との太さが、各製品の指示と異なるときには足関節部の太さを優先させると良いでしょう。当クリニックでも販売していますのでお気軽にご相談ください。

十分な効果を得るために

誤った使用では充分な効果を得ることができません。弾性ストッキングも、薬と注射と同じように医薬品のひとつとして考えてください。

初めて弾性ストッキングを使用する人は、主治医に相談し、自分にあった圧迫圧、タイプ、サイズを決めてもらうことが必要です。

弾性ストッキングは昼間、とくに立ち仕事に従事したり、外出するときに着用します。就寝時には、硬化療法後などの特殊な場合を除いてはずします。

はじめのうちは、弾性ストッキングがきつくて着用に苦労される方もいらっしゃいますが、慣れると少しずつはきやすくなります。どうしてもはけないという方には、少し弱めの弾性ストッキングを2枚重ねてはかれることをお勧めします。弱めでも2枚重ね着をすると、2倍近く圧迫圧が得られます。

日常のケア

静脈瘤の症状を軽くさせ、悪化させないために、次のような注意を守ることが大切です。

長時間の立位を避ける

できるだけ足に血液が溜まらないように、長時間の連続した立ち仕事は避けましょう。立ち仕事の人は、1時間の仕事に5~10分間は足を高くして休息するとよいでしょう。休息の取りにくい人は、足踏みをしたり、歩き回ったりしてください。足の筋肉を使うと静脈還流がよくなります。

就寝時の下肢挙上

夜寝るときには、足を心臓より高くして休んでください。

看肢の清潔・保護

静脈瘤があると足に湿疹ができ、かゆみが出やすくなります。足を常に清潔にし、掻きキズや外傷を避け、色素沈着や潰瘍を作らないようにしましょう。

妊娠と静脈瘤

静脈瘤は妊娠時によく発生します。妊娠中に少しでも足の血管が浮くようなら、弾性ストッキングの使用がすすめられます。静脈瘤には遺伝的要素も関係しますので、静脈瘤のあるお母さんは、娘さんの妊娠中、特に足に気をつけてあげるとよいでしょう。